小さいころから貿易業を営む父親の姿を見て育ってきました。物心ついたころには「地球は大きいのだから世界の人たちを相手に仕事がしたい」という気持ちが自然に身についていたような気がします。自然な流れで高校を卒業後アメリカへ語学留学に旅立ちました。約3年間の留学では英語以外にも多くのことを学び、また貴重な経験をしました。今の生活の礎になっていることは確かで、もし留学をしていなかったらまったく別の仕事について違う生活を送っていたかもしれません。日本に帰国後すぐに貿易会社に入って20年近く務めた後、満を持して独立し、この会社を作りました。今実感するのは、この『貿易』という仕事が大好きだということです。幼いころから夢描いていたことが現実になっても飽きるどころかこの仕事の魅力にどんどん引き込まれています。

貿易業の醍醐味は何と言っても異国の人たちと交流を持てることです。その中には私が一度も訪れたことのない国も数多くあり、届いたメールの内容から勝手に国や人を想像して楽しんでいます。逆にこれは怖いことだと思うのですが、日本人をあまり知らない人にとってみれば相手も私のメールの内容で『日本人とは＝私』と関連付ける部分は多少なりともあるわけで日ごろ気をつけているところです。

私が貿易の仕事に携わったころの海外との通信手段は手紙やテレックスしかありませんでしたが、ここ数十年で通信は飛躍的に進化し、ファックスを経て今の主役はメールです。海外のお客様と手軽に連絡が取り合えるようになったと同時にインターネットによって世界各地の情報が瞬時に行き交うボーダレスな時代になったわけですが、時代は変わっても本質はまったく変わっていません。世界の様々な国から日々届くメールは私にとって刺激そのもので、世界と繋がっている悦びを感じさせてくれます。

貿易という仕事を通じて知り合った人や企業だけではなく、その人の家族まで幸せにできるような仕事ができたらと考えています。もっと大きいことを言うと、二児の父親として、そしてひとりの人間として、将来子供たちが平和で幸せな生活を送れるように、緑豊かで戦争や争いのない世界へと導く歯車のひとつになれたら幸せです。それが貿易業に携わる人間の社会的な役割のひとつだと考えています。